高齢者が熱中症になる原因とかくれ脱水から始まる主な症状や知っておきたい予防・対策のポイントをお伝えします。
体温調節が上手くできない高齢者は家にいることが多く、運動しているわけでもないのに熱中症になってしまう確率が高いと言われています。
なぜなのか、本人も家族も知っておく必要がありますね。
高齢者が熱中症になる原因
近年は昔に比べてとても暑いですよね。
体温より気温が高い日を経験してしまうと、35℃を越える日が続いても驚かなくなってしまいます。
しかし、こんな時に気を付けなくてはならないのが熱中症です。
「特に高齢者は熱中症に注意しましょう。」などとテレビでも良く耳にしますよね。
家の中で倒れていて緊急搬送されたなどのニュースを見ると、自分の親は大丈夫だろうかと心配になっている人は多いでしょう。
親と離れて暮らしていればなおさらですよね。
外で動き回っているわけでも激しい運動しているわけでもない高齢者が家の中で熱中症になってしまうのか、高齢者が熱中症になる原因をしっかり確認しておきましょう。
高齢者が熱中症に陥りやすい原因は昔からの習慣や感覚が大きく影響していてエアコンを使用しないことです。
エアコンを使用しない理由は次のようになっています。
●体に良くないと思い込んでいる
特に80代の高齢者は部屋にエアコンが付いているにもかかわらず、エアコンは身体を冷やしすぎて良くない物だと思い込んでいる人が多いのです。
昔のガンガン冷やす冷蔵庫の中にいるようなクーラーのイメージが強いのでしょう。
確かに昔の冷房は体には優しくありませんでしたからね。
【私の母の場合】
私の母もエアコンをなかなか使おうとしません。
エアコンはクーラーとは違うと説明しても思い込んだら一直線、なかなか納得してくれません。
年々頑固になっています。
一日おきに電話してエアコンを使ってねと根気よく伝える日々です。
●贅沢と感じ抵抗を持っている
エアコンを使うのは贅沢と感じて使用することに抵抗を持っている人も多いようですね。
昔はうちわで涼をとっていたこともあり、扇風機で十分だと考えているのでしょう。
家族と同居していれば「暑いからエアコンをつけるわよ~」と家族がエアコンのスイッチを入れてしまえば、抵抗することもなくエアコンの中に居られるのでしょうが、若い世代が共働きで日中は留守だったり、一人暮らしをしている場合などはエアコンは我慢してしまうようですね。
⇒ エアコンの冷房と除湿の違いと使い分け 電気代が安いのは?
●肌の感覚が鈍くなっている
高齢者になると肌の感覚が鈍くなってきます。
若い頃に比べて発汗作用が衰え始め、なにより外気温に対する感覚が鈍くなって暑さや寒さを感じることが難しくなるんです。
だから、自分の体温が上がっていることに気がつかなかったり、のどが渇いていることにも気づかない場合もあるんですよ。
信じられないと思われがちですが本当にそうなんです。
●水分摂取を控えてしまう傾向がある
高齢者は夜間トイレが近くなる事を嫌います。
何回もトイレに起きるのはつらいですからね。
だから、就寝中にたくさんの汗をかいてしまうにもかかわらず、水分摂取を控えてしまう傾向があるのです。
●「持病のせいかも」と思い込む
高齢になるとどうしても、糖尿病・高血圧・腎臓などの持病を抱えている方が多くなります。
だから多少具合が悪くても「持病のせいかも」と思い込んでそのままでいることが多いようです。
高齢者の熱中症 かくれ脱水から始まる症状
高齢者に多いのが、熱中症の一歩手前の体温調節に必要な水分と塩分が足りていない状態から始まる「かくれ脱水」です。
【高齢者のかくれ脱水症状】
■頭痛
■めまい
■むくみ
手の甲をつまみ上げてみて、つまみ上げた皮膚が戻らずに富士山のようになっていたり、脚を指で押した後がそのままへこんでいたり、足がつるようならもうこれはかくれ脱水ですよ。
比較的元気に見えていても、赤ちゃんと同様アッという間にかくれ脱水から熱中症に症状は進んでしまうので、上記のような症状が現れた時は要注意です。
【高齢者の熱中症症状】
■口が乾燥する
■舌が白いものに覆われている
■舌の赤身が強い
■首筋がべたつく
■爪を押したあと色が白色からピンク色に中々戻らない
■皮膚に張りがない
■手足が冷たくなっている
■微熱がある
■食欲の低下
■便秘になる
このような症状が現れた時は、涼しい部屋で十分な水分と塩分をとり安静にしてもらい、衣服をゆるめて首や脇を冷たく冷やしたタオルなどで冷やし体温調節する必要があります。
それでも症状が改善しない場合は、かかりつけの医師に診てもらうか救急車を呼ぶ必要があります。
高齢者の熱中症予防や対策のポイント
高齢者の熱中症予防は本人が自覚するまえに家族が気付いてあげることが一番です。
しかし中々そうもいきませんよね。
同居していても日中は一人だったり、一人暮らしだったりしたらなおさらです。
そこで、熱中症予防や対策をするポイントを紹介しますので参考してください。
●部屋に温度計を置いて設定温度を決める
まずは部屋に高齢者が一目見てわかるようなデジタルの大きな数字て温度を表してくれる温度計を置いて設定温度を決めましょう。
「温度計が30℃になったらエアコンを25℃設定でつける」などの家族間でルールを作るのです。
高齢者本人の感覚で暑さ寒さで判断するのではなく客観的に管理してもらうよう約束しましょう。
【私の母の場合】
私は母に、日本気象協会監修の携帯型熱中症計「見守りっち」をプレゼントし常に携帯してもらいました。
「ピッピッピッ」という音と光で知らせてくれるのでこれはすすめです。
鳴ったらエアコン入れてねと伝えてあります。
●水分は時間で飲むようにする
高齢者はのどの渇きにも鈍くなっているので、「のどが渇いて飲む」としたのでは一日の水分量は少な過ぎるのです。
それを防ぐために「時間が来たから飲もう」というように時間を決めて小まめに水分を摂るよう約束しましょう。
本人にも気をつけてもらい、家族も時間があれば連絡を取り、きちんと水分を摂っているかの確認してあげるのが良いでしょう。
※高齢者になると、あまりに暑くて飲むことが出来ないという場合があるようです。
そんな時は、氷を舐めるとその後水分が摂りやすくなるようですよ。
⇒ とうもろこしの栄養は夏バテに効果あり 甘いゆで方とひげ茶の作り方
【水分を摂る上での注意点】
■コーヒーお茶ビールなどの利尿作用のあるものは避けるようにしましょう。
水分を摂っているような感覚になってしまいがちですが、逆に脱水症状になりやすいので注意が必要です。
■スポーツドリンクは摂り過ぎないようにしましょう。
スポーツドリンクはスポーツをする人を基準に作られているので、運動しないで飲みすぎると「糖尿病」の心配がでてきます。
水で薄めるなどの工夫をすると良いでしょう。
■一気に飲まないようにしましょう。
水分を一度にゴクゴク飲んでも飲んだ分の水分全てが吸収できるわけではなく吸収できない分は尿として排出してしまうので、定期的に一定量飲むのがベストです。
■冷たいものを取りすぎない
冷たすぎるものは夏バテの原因になるので常温のものが理想です。
これらの注意点は高齢者の方に限ったことではありません。
私たち家族も水分補給には注意点をしっかり押さえて熱中症にならないよう気をつけましょう。
まとめ
高齢者の熱中症予防には、周りの家族がこまめに声をかけたり様子を見てあげることが大切です。
遠く離れて暮らしている場合は、小まめに電話をかけたり温度計をプレゼントしてあげると良いでしょう。
常日頃からご近所の方々とも積極的にコミニケーションを取り、かかりつけの病院名や電話番号、医師の名前など控えておくことも大切です。
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湿度の高い猛暑、元気に乗り越えたいですね。