ひな祭りに唄われる「うれしいひな祭り」、明るいタイトルなのにちょっと怖いメロディーと感じ、歌詞にどんな意味があるのか気になる人も多いでしょう。
さらに、この歌詞には「2つの間違いがある。」と言われているので、なおさら知りたくなりますよね。

また、短調なのはなぜなのでしょう。

そこで、「うれしいひな祭り」の歌詞に込められた本当の意味と2つの間違い、短調なのはなぜか紹介します。

参考になれれば幸いです。

では本題に入りましょう。

ひな祭りの歌「うれしいひな祭り」の歌詞に込められた本当の意味は?

「うれしいひな祭り」は、1935年に作られた曲です。
・作詞 サトウ ハチロー
・作曲 河村 光陽

ひな祭りの歌なので、もちろん祝い事の歌になりますよね。

祝い事の歌なら当然縁起のよい歌詞であると誰もが思うことでしょう。
だってひな祭りの食事のメニューを見ても、これでもかって言うくらい縁起の良いもののオンパレードです。

 

しかし、ひな祭りの歌「うれしいひな祭り」はちょっと違うのです。

この「うれしいひな祭り」という曲の歌詞は、実は悲しい歌詞曲調も悲しい旋律(人によっては怖い言われている)なんです。

 

どうしてなのか気になりますよね。

それでは、「うれしいひな祭り」の歌詞に込められた本当の意味を紹介しますね。

この「うれしいひな祭り」の歌には様々な思いが込められています。

 

 

「うれしいひな祭り」の歌詞

◇1番
あかりをつけましょ ぼんぼりに
お花をあげましょ 桃の花
五人ばやしの 笛太鼓
今日はたのしい ひな祭り

◇2番
お内裏様(おだいりさま)と おひな様
二人ならんで すまし顔
お嫁にいらした ねえさまに
よく似た官女の 白い顔

◇3番
金のびょうぶに うつる灯を
かすかにゆする 春の風
すこし白酒 めされたか
赤いお顔の 右大臣

◇4番
着物をきかえて 帯しめて
今日はわたしも はれ姿
春のやよいの このよき日
なによりうれしい ひな祭り

母と離れて淋しそうな我が子たちへの思い

1つ目は、母と離れて淋しそうな我が子たちへの思いを歌にしています。

この歌が作られたのは1935年 当時サトウ ハチローさんは、子どもを引き取って離婚したばかりでした。
淋しい思いをさせた子どもたちにひな人形のセットを買って、楽しい時を過ごしたその様子を歌にしたといわれています。

嫁ぐ直前に亡くなってしまったお姉さんへの思い

2つ目は、嫁ぐ直前に亡くなってしまったお姉さんへの思いが込められています。

歌詞の中にもある「姉さま」とは、サトウ ハチローさんの実のお姉さんです。

 

幼少の頃のケガが原因で、外で遊べなかったサトウ ハチローさんにとって、お姉さんは良き友人でありピアノの師でもあったのです。

しかしお姉さんは嫁ぎ先が決まった直後に、結核によってわずか18歳で亡くなってしまいます。
サトウハチローさんはせめて、歌の中で姉を嫁がせてあげようという鎮魂の思いを込めて、この歌を作ったと言われています。

 

2番の歌詞の「お嫁にいらした姉さまによく似た官女の白い顔」というところを見るとよくわかりますね。

 

ひな祭りの歌として「うれしいひな祭り」は有名ですが、この歌には桃の節句を祝う楽しいひな祭りとは違う、 別の意味が込められていたのです。

「悲しきみなしご」というタイトルでメキシコでも有名

ちなみに、
この「うれしいひな祭り」は日本の童謡ですが、メキシコでも有名です。

アメリカやメキシコの人に「うれしいひな祭り」のメロディーを聞かせると、「昔ヒットしたメキシコの歌だ。」と答える人が多いそうです。
1060年代にメキシコの音楽グループ、ロス・パンチョスが「悲しきみなしご」というタイトルでカバーしていました。

しかし、日本の童謡と表記されないまま曲が定着してしまったので、このメロディーを「メキシコの曲だ」と思っている人も多いのです。

 

平成7年には日本の曲として登録されています。

ひな祭りの歌「うれしいひな祭り」歌詞の2つの間違いとは?

「うれしいひな祭り」の歌詞には2つの間違いがあるのです。
この間違いに気づかないで勘違いをしている大人の人もたくさんいると思いますよ。

1つ目の間違い

1つ目の間違いは、2番の「お内裏様(おだいりさま)とおひな様」の部分です。

多くの人が次のように、2番の歌詞をそのまま認識しているのではないでしょうか。

お内裏様(おだいりさま)= 男雛
おひな様        = 女雛

 

しかし本当は、まったく違うのです。

お内裏様とは、男性の雛人形と女性の雛人形(男女一組)の2人を指します。
そしておひな様とは、全ての雛人形のことを指すんです。

 

「お内裏様(おだいりさま)と おひな様」後に続く「二人ならんですまし顔」という歌詞によって、お内裏様(おだいりさま)= 男雛、おひな様 = 女雛、を指すことになり誤用だったことになるのです。

2つ目の間違い

2つ目の間違いは、3番の「すこし白酒めされたか 赤い顔の右大臣」の部分です。

おひな様をよく見ると、「ひげがある左大臣のほうが赤い顔をしている。」と違和感を覚えるでしょう。

 

赤い顔に白ヒゲのほうが「左大臣」で、色白の若いほうが「右大臣」です。

左大臣は向かって右、右大臣は向かって左になります。
この二人は随身と呼ばれる護衛の者で、高位の年長の者が左側(向かって右側)に座すという決まり事に従って並んでいます。

赤い顔をしているのは右大臣ではなく左大臣なのです。

 

日本中で昔から歌い継がれる名曲「うれしいひな祭り」は、2007年には文化庁が選定した「日本の歌百選」に選ばれています。

 

しかし、サトウ ハチローさんは歌詞の背景にある悲しい記憶と、後に気づいた歌詞の誤用をとても悔やみ、晩年までこの歌を好んでいなかったと言われています。

誤用については大らかな時代だったのでしょう。
指摘は無くそのまま発表されました。

後に、児童教育者等から誤用訂正を求める動きもあったようですが、歌の普及には追いつけなかったようで今に至っているのです。

ひな祭りの歌「うれしいひな祭り」が短調なのはなぜ?

ひな祭りの歌は、「うれしいひな祭り」のタイトルとは対照的に落ち着きのあるしっとりとした曲調です。

短調の響きそのものにはどことなく哀愁も感じられますよね。

人によっては、怖い印象の歌と感じる人も中にはいるようです。
ひな祭りそのものが、女の子の健康を成長をお祝いする華やかなイメージが大きいのでそう感じるのかもしれませんね。

 

しかし、短調の曲が悲しいという印象を受けるとは限りません。

この「うれしいひな祭り」は日本っぽく、琴の音色が合う気がしませんか?

ひな祭りは、古来からのお祭りです。
日ごろは跳ね回っている元気いっぱいの女の子たちも、ひな祭りは「雅(みやび)」にかしこまって、ちょっと大人になった雰囲気でお祭りをしていたので、あのメロディーになったのではないでしょうか。

 

「うれしいひな祭り」は短調ですが、日本音階の陰旋法(都節)と言った方が適当なのかもしれません。

 

※陰旋法(いんせんぽう)は陽旋法(ようせんぽう)とともに日本の伝統的な音階です。
呂・ 律旋法が雅楽(神聖な場での音楽)に使われていたのに対し、陰旋法と陽旋法とともに俗楽(庶民 の音楽)に使われました。
また、陰旋法は「都節(みやこぶし)」、陽旋法は「田舎節( いなかぶし)」とも呼ばれます。

陰旋法は聞いた感じすごく日本っぽく、琴の音色が合うのです。

まとめ

日本中で古く昔から歌い継がれる名曲「うれしいひな祭り」が、作詞家本人 サトウ ハチローさんに好まれていなかったなんて、なんだかちょっと悲しいですね。

幼いころから良く耳にしひな祭りに唄う歌ですが、この「うれしいひな祭り」が作られた背景を知ったことで今年は違った楽しみ方ができそうです。

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今年はぜひ、お子さんと一緒に声に出して「うれしいひな祭り」を唄ってみましょう。