八十八夜の意味とお茶との関係や新茶は縁起が良いと言われる理由は?

八十八夜の意味とお茶との関係や新茶は縁起が良いと言われる理由についてお伝えします。

唱歌「茶摘み」に八十八夜は出てきますよね。
でも、「八十八夜って何?お茶に関係あるんだ・・・」という人がほとんどです。
ここで八十八夜を理解しちゃいましょう。

八十八夜の意味とは?

日本の伝統曲の唱歌「茶摘み」に八十八夜という言葉が出てきます。
だから、八十八夜はお茶に関係していることはなんとなーくわかりますよね。

「茶摘み」の歌詞を確認しておきましょう。

 \(\large{\color{magenta}{\fbox{唱歌「茶摘み」の歌詞}}}\)

■\(\,1\,\)番
夏も近づく八十八夜
野にも山にも若葉が茂る
あれに見えるは茶摘みじゃないか
あかねだすきに菅の笠

■\(\,2\,\)番
日和(ひより)つづきの今日このごろを
心のどかに摘みつつ歌ふ
摘めよ摘め摘め摘まねばならぬ
摘まにゃ日本の茶にならぬ

夏の準備を始める目安

八十八夜と言われるようになったのは江戸時代からです。

立春から数えて八十八日目にあたる日を「八十八夜」と言います。
毎年多少のズレはありますが、八十八夜はだいたい\(\,5\,\)月\(\,2\,\)日頃です。

農業にたずさわる人が多かった日本では、ちょうど\(\,5\,\)月\(\,2\,\)日頃に種まき田植えの準備茶摘みなど、春の農作業を行う時期にあたっていました。

八十八夜の数日後には二十四節気でいう「立夏」になるので、昔の人はこの時期を「夏の準備を始める目安」ととらえていたのです。

幸運を呼ぶ縁起のいい日

「八」の字は、末広がりで縁起のいい姿をしていることから幸運を呼ぶといわれています。

幸運を呼ぶ「八」の字が二つ重なった「八十八夜」はさらに、縁起のいい日と考えられていたのです。
「八十八」の\(\,3\,\)つの文字を組み合わせると「米」という字になることから、特に農業にたずさわる人にとって大切にされてきたのが分かります。

現在でも八十八夜に、農作業の開始を祝う神事を行う地域が残ってます。

日本国民が全員GWに浮かれているのではないということが確認できますね。

 \(\large{\color{green}{\fbox{霜の被害に注意を促すことわざ}}}\)

この時期の霜の被害に注意を促すことを表す次のようなことわざもあります。

・八十八夜の別れ霜
・八十八夜の泣き霜

長い冬が終わって季節は春になります。
八十八夜を迎える\(\,5\,\)月\(\,2\,\)日頃になると天候も安定しますよね。

この時期を過ぎれば、もう霜が降りるほど冷え込むことはないとされていたのです。
その年の最後におりる霜のことを「別れ霜」といい、この別れ霜を見計らって人びとは農作業を開始しました。

しかし、万が一「別れ霜」後に霜がおりると、農作物は大変な被害を受けてしまいます。
昔のこよみ(旧暦)は、月の満ち欠けに基づいた太陰暦です。
そのために実際の季節とかなりズレることがありました。

とくに寒い地方は、こよみ(旧暦)だけに頼って農作業をしてしまうと、思わぬ霜の被害に泣かされた(泣き霜)ことがあったのです。
これが八十八夜の泣き霜です。

 \(\large{\color{green}{\fbox{日本発祥の記念日 メイストームデー(五月の嵐の日)}}}\)

現代では、ことわざの「別れ霜」から生まれたユニークな日本発祥の記念日があります。

実はこの記念日を私は私はしりませんでした。
全くのノーマークでした。

\(\,5\,\)月\(\,13\,\)日はメイストームデー(五月の嵐の日)です。
「八十八夜の別れ霜」にちなんで「バレンタインデー」の\(\,88\,\)日後に定められた記念日で、別れ話を切り出すのに最適とされる日と言われているようです。。

春の嵐と同様、恋人のご機嫌にも気をつけましょうということでしょうか。

 \(\large{\color{orange}{\fbox{夏の準備を始めるのに最適な時期}}}\)

八十八夜は農作業だけでなく、私たちが夏の準備を始めるのにも良い時期なのです。

春から夏へと季節が変わる時で天気がとても安定しています。
また縁起のいい「八」の文字が二つも重なっているし最高です。

このあとやってくる梅雨をさっぱりと過ごすために、次のようなことをやってみましょう。

・夏用のガラスの器を出す
・夏用の日傘、帽子、手袋などを準備する
カーテンソファーカバークッションカバーを夏用に替える
スリッパを夏用に替える

私の友人は毎年年末の大掃除はしないで、\(\,5\,\)月のGWに大掃除をしています。
以前話を聞いた時は何だか変わっているなと思いましたが、八十八夜の意味を知った今では、なんと理にかなっていることをしているのかと尊敬しています。

八十八夜のお茶との関係は?

唱歌「茶摘み」の歌詞からも「八十八夜 = お茶」というイメージは強いですよね。

しかし実際には、必ずしも茶摘みを八十八夜に行うわけではなく、茶摘みの時期はその年の気候や産地によって違いがあります。
現在の気候と照らし合わせると、八十八夜に茶摘みを行えるのは関西地方です。

日本で茶摘みが行われる回数

日本で茶摘みが行われるのは年に\(\,3\,\)回です。

●\(\,1\,\)回目(一番茶)\(\,4\,\)月下旬~\(\,5\,\)月上旬
●\(\,2\,\)回目(二番茶)\(\,6\,\)月下旬~\(\,7\,\)月上旬
●\(\,3\,\)回目(三番茶)\(\,8\,\)月下旬

八十八夜の頃の\(\,1\,\)回目に摘まれた茶葉が一番茶となり、その後二番茶、三番茶と続きます。
この八十八夜に収穫される\(\,1\,\)回目の一番茶が俗に言う「新茶」です。

新茶は「茶摘み」の歌詞の通り、現在でも丁寧に人の手で摘まれ、二番茶や三番茶は機械によって摘むことの多いということです。

八十八夜の頃に手で摘まれる一番茶を旬のお茶として、じっくり味わってみるのも楽しいですね。

八十八夜に摘まれる新茶が縁起が良いと言われる理由

昔の人は、「八十八夜に摘まれたお茶を飲むと長生きできる。」「新茶を飲むと病気にならない。」などと言い伝えてきました。

初物に含まれる生命力を摂り入れることで元気になれる考えていたのです。

実際お茶の葉は冬の寒い時期にゆっくりと養分を蓄え、春になると少しずつ芽を出し始めます。
そのいち早く芽吹いた茶葉を収穫してつくった新茶(一番茶)には、その後に摘まれる二番茶や三番茶よりも、栄養価やうまみ成分が多く含まれています。

新茶(一番茶)は香りが抜群に良く、テアニンという成分が豊富に含まれているのが特徴です。
テアニンは旨味成分なので、お茶をより美味しく飲めるのはもちろんですが、リラックス効果集中力アップの効果も期待できます。

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飲み過ぎはいけません。
適量を効果的に飲むようにしましょうね。

 \(\large{\color{magenta}{\fbox{新茶を美味しく飲むためのポイント}}}\)

新茶を美味しく飲むための一番のポイントは「お湯の温度」です。

\(\,1.\,\)沸騰させたお湯をいったん湯のみに注ぎましょう(湯のみを温める)
\(\,2.\,\)そのお湯を急須に戻しましょう
\(\,3.\,\)そして湯飲みに茶を注ぎ美味しくいただきましょう

少しぬるめのお湯を使うことで、効果的にお茶の旨味を引き出すことができます。

まとめ

八十八夜は、昔の日本では種まきや農作物の成長に関わる大切な日でした。

現代も、八十八夜を暮らしのアクセントにしてみましょう。
近づく夏を感じながら夏の準備を始めるのが楽しみのひとつに加えられるといいですね。

いつもはお茶のペットボトル派の人も、八十八夜の時期に丁寧に人の手で摘まれた新茶で、今まで知らなかったお茶の魅力を楽しんでみましょう。

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美味しいお茶であったとしても、保存方法を間違えたら美味しく頂くことはできませんよね。
正しい保存方法を確認しましょう。