ぎんなんの栄養と効能や食べ過ぎ注意の目安個数と臭いの成分

ぎんなんの栄養成分と効能や食べ過ぎには注意が必要と言われる理由、目安個数と気になる臭いの成分についてお伝えします。

栄養価が高い食材でも食べ過ぎたら中毒を起こす可能性があるので、1日に食べる個数を守りましょう。
また独特の臭いは自身を守るという意味があるんです。

ぎんなんの栄養と効能

ぎんなんは食感が良くて美味しいですが、ちょっぴり苦いですね。
このちょっぴり苦いというのが何となく体に良さそうな「イメージ」です。
実際にどのような栄養素が含まれていて、どのような効能があるのか確認しましょう。

ぎんなんはとても栄養価が高い食材なんです。

ぎんなんの栄養

●炭水化物
炭水化物は三大栄養素の中でもとりわけ大切なエネルギー源です。

特にブドウ糖は血糖となって、脳・中枢神経・筋肉などの重要なエネルギー源となります。
体を作る細胞の構成成分にもなります。

●カロチン
カロチンは体内でビタミンAに変換されます。
ビタミンAとして、目の神経伝達物質となります。

また、活性酸素を抑え動脈硬化や心筋梗塞などの生活習慣病から体を守ります。
皮膚や粘膜の細胞を正常に保つ働きや免疫力を高める働きもあります。
がんの予防にも効果が期待できるといわれています。

●ビタミンC
コラーゲンは美肌を保つために大切なタンパク質ですが、ビタミンCはこのコラーゲンの生成に欠かせない栄養素です。

老化やがんの原因とも言われている活性酸素から、ビタミンC自らが酸化されることによって、私たちの体を酸化から守る働きがあります。

白血球の免疫力を高める働きがあるので、風邪やウイルスに対する抵抗力が高まります。
副腎皮質ホルモンの生成を促す働きがあり、私たちが受ける精神的なストレスや、冬の厳しい寒さからの外的なストレスに耐える力になります。

メラニンの生成を抑える働きや、鉄分の吸収を助ける働きもあります。

●カリウム
体の中の塩分(ナトリウム)が過剰になったときに外に排出してくれる働きがあるのでむくみに効果的です。
高血圧・動脈硬化を予防してくれます。

●マグネシウム
カルシウムとともに骨や歯の元になっています。

各種の酵素の働きを助ける働きをしています。
恒常性ホルモンなど、様々なホルモンを活性化させる働きがあります
カルシウムとともに神経の刺激伝達などに関与し、神経を安定させる働きがあります。

ぎんなん その他の効能

■潤肺(じゅんぱい)
肺を潤してくれます。

■鎮咳(ちんがい)
咳を鎮めてくれます。

■去痰(きょたん)
痰を出しやすくしてくれます。

このような言葉や効能はまるで漢方のようですね。
実際に、漢方のせき止め薬の定喘湯(ていぜんとう)は、ぎんなんを用いた薬です。

まな板

効能ではありませんが、台所には必ずある「まな板」に注目してみましょう。

銀杏(イチョウ)の木は脂分が多い事から水はけが良いので、銀杏(イチョウ)の木から作るまな板は腐りにくく抗菌作用があると言われています。

まな板を買い替える時は素材を確認してみましょうね!

ぎんなんの食べ過ぎに注意 目安の個数は?

ぎんなんは食感も良く栄養価が高いのでついついたくさん食べたくなってしまいますが、食べ過ぎると中毒を起こす危険性があります。
とくに小さい子どもには危険のようです。

銀杏(イチョウ)の種子であるぎんなんには「メチルピリドキシン」という成分が含まれていて、この成分がビタミン\(\mathrm{B_6}\)の働きを邪魔して中毒を引き起こすのです。

主な中毒症状

主な中毒症状は次の通りです。

・腹痛
・嘔吐
・下痢
・頻脈
・消化不良
・ふらつき
・痙攣
・呼吸困難
・意識消失
・ショック症状 など

子供の場合 1日に食べるぎんなんの個数目安

ぎんなんを食べ過ぎないための1日に食べる個数の目安を確認しておきましょう。

子供の場合は1日5粒くらいまでです。
しかし、子供の場合は特に個人差があって1粒でも中毒になる場合もあります。

報告されている銀杏中毒の患者の70%以上が10歳未満の子供なので、5歳未満の子供には食べさせないほうが無難です。

大人の場合 1日に食べるぎんなんの個数目安

大人の場合は1日20粒くらいまでといわれていますが、大人も個人差があるので1日10粒以下にしておいたほうが無難でしょう。

ぎんなんは食べ過ぎない事が大事です。
「過ぎたるは猶及ばざるが如し」ということですね。

 ⇒ ぎんなん殻つきの賞味期限と簡単なむき方や冷凍方法と保存期間

銀杏の保存の仕方を紹介しています。

ぎんなんの臭いの成分は?

ぎんなんは熟すと外皮部分から下記の独特な臭いニオイを発するようになります。
あの臭いがどうも苦手という人は少なくないですよね。

酪酸とヘプタン酸

この\(\,2\,\)つはどちらもくさい酸です。

あの独特な臭いの原因と言われています。
哺乳類に食べられないようにするために、あえて哺乳類が嫌う臭いを出して、実(身)を守っているのです。

酪酸(ブタン酸)\(\mathrm{CH_3(CH_2)_2-COOH}\)
ヘプタン酸(エナント酸):\(\mathrm{CH_3(CH_2)_5-COOH}\)

ぎんなんの熟した強烈な臭いは、サルやネズミですら食べようとしないと言われています。

しかし、アライグマは平気でぎんなんを食べるらしいですよ。
アライグマの嗅覚どうなっているんでしょうか、これはこれで疑問ですね。

ぎんなんの臭いの元である酪酸ですが、銀杏以外ではバターやチーズにも含まれています。

そして、もうひとつ驚きの事実があるんです。
ヘプタン酸は、なんと!足の臭いの原因でもあるということです。

ぎんなんの臭いって、自分の実(身)を守るためとはいえ、ものすごいと改めて思っちゃいました。
また、そのぎんなんを食べはじめた人間もすごいですね。

ちなみに、ぎんなんがなる銀杏(イチョウ)の木は中国原産です。

大阪「御堂筋」の銀杏(イチョウ)並木

銀杏(イチョウ)の木は、一般の木とは少し異なっていて、雄(オス)株と雌(メス)株の区別があり、ぎんなんの実がなるのは、雌(メス)の木だけです。

虫もつきづらくて枯れずらいとてもタフな木で、なおかつ手入れも楽なので街路樹によく使われるのです。

そこで一番に思い浮かぶのが「御堂筋」ですよね。
大阪を代表する美しい幹線街路の銀杏(イチョウ)並木です。

御堂筋に植える木を決める際には、プラタナスにするか銀杏(イチョウ)にするかで議論が紛糾したそうですが、
「姿に風格があり、夏の木陰・秋の落葉など、季節感の乏しい都会にはこんな季節感がある樹木が必要だ。イチョウは東洋の特産だから外国人に珍しがられ、国際都市大阪を目指す大阪にふさわしい」
という事で銀杏(イチョウ)に決まったようです。

しかし、あの独特な臭いはやはり問題がありました。

あの独特な臭いを街からなくすために、実際に大阪市では昭和の終わりから銀杏(イチョウ)を植え替える際には、雄の木を植えるようにしているそうです。
現在949本植えられていていますが、ぎんなんのなる雌の木は250本です。

まとめ

ぎんなんは栄養価に高くミネラルも豊富で効能にもすぐれていますが、中毒症状をひきおこさないためにも食べ過ぎには注意をしましょう。
銀杏(イチョウ)の木は、雄の木で紅葉を、雌の木でぎんなんを、私たちを2倍楽しませてくれる、一般の木とは少し異なっているということを理解すると、あの独特な臭いもちょっと納得できるような気がしてきますね。

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銀杏と同様この時期には栄養価の高い干し柿が登場します。
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