お正月のお屠蘇はどんな飲み物?作法と作り方やノンアルコールにするには

お正月に飲むお屠蘇(おとそ)はどんな飲み物なのか、正しい作法と簡単な作り方、また子供にも安心なノンアルコールの作り方もお伝えします。

お屠蘇は甘酒や普通のお酒だと思っている人も多いようですが違うんですよ。

お正月に飲むお屠蘇(おとそ)とはどんな飲み物?

お屠蘇とは、日本の昔からの風習で、元日の朝に家族が顔を揃えて新年のあいさつを済ませた後いただく飲み物です。

どのようなものか確認していきましょう。

お屠蘇とは

正式には「屠蘇散(とそさん)」と言います。

多くの人がお屠蘇とは御神酒(おみき)と同じで、清酒なのではないかと思っているようですが違います。
日本酒やみりんで生薬を浸けこんだ薬草酒の一種なんです。

「屠蘇(おとそ)」って、かながふってなければ読めないような難しい漢字ですよね。
実はこの「屠蘇」の漢字に次のような深い意味があります。

●屠蘇の「屠」
屠蘇の「屠」には「屠(ほふ)る」・「邪気を払う」と言う意味があります。

●屠蘇の「蘇」
屠蘇の「蘇」には「病をもたらす鬼」・「魂を目覚め蘇らせる」と言う意味があります。

このように「屠蘇」という言葉には、「悪い鬼を退治し、死者を蘇らせる」「邪気を払い、無病長寿を祈り、心身ともに改まろう」という意味があります。

これら漢字の意味から分かるように、
お屠蘇は、家族の健康を願う気持ちを込めていただくお正月ならでは行事酒なのです。

お屠蘇(おとそ)はどんな飲み物?

お屠蘇をお正月に飲む習慣は、中国で始まったと言われています。
日本には平安時代に伝わり、嵯峨天皇の頃に宮中の正月行事として取り入れられ、江戸時代に庶民の間に広がりました。

正式な「屠蘇散」の中身は、漢方薬に使われる生薬が約10種類ほど配合されていますが、一般に販売されている屠蘇散には5~6種類の生薬が配合されています。

【屠蘇散の代表的な生薬】
屠蘇散代表的な生薬は次の通りです。

■防風(ボウフウ)
発汗・解熱作用、抗炎症作用

■山椒(サンショウ)
健胃作用、抗菌作用

■肉桂(ニッケイ)
健胃作用、発汗・解熱作用、鎮静・鎮痙作用

■桔梗(キキョウ)
鎮咳去啖作用、鎮静・沈痛作用

■白朮(ビャクジュツ)
利尿作用、健胃作用、鎮静作用

これらの生薬は、胃腸の働きを盛んにし、血行をよくし、風邪を引かないようにする効用があります。
そして、日本酒や本みりんには必須アミノ酸やミネラル、ビタミン類も含まれ、血行を促進させるアルコール分もあるので、
「お屠蘇」は無病息災祈願にふさわしい飲み物と言えます。

お正月にお屠蘇(おとそ)をいただく時の正しい作法

お屠蘇をいただくときの一般的な作法を紹介しますね。

屠蘇器(とそき)という朱塗りのお銚子と三段重ねの盃でいただくのが正式です。

しかし、現代の一般家庭ではなかなか持っている人は少ないですよね。
無い場合は、家庭にある酒器の中で一番お正月にふさわしいと思うものを使用しましょう。

(1)お屠蘇はおせち料理やお雑煮を食べる前に飲みます。

(2)飲むときは家族全員が東の方角を向きます

(3)飲む人の右側から注ぎ、飲む順番は年少者から年長者へと進めていきます。
通常の宴席とは逆になる飲む順番は、活発な若者の生気を年長者へ渡すという意味が込められています。
またこれは、毒見の名残だとも言われています。

本来は三段重ねの盃で1杯ずつ3回に分けて飲みます。
しかし略式では、1つの盃に3回に分けて入れ3回に分けて飲み干します。

(4)飲む時に、「一人これを飲めば一家苦しみなく、一家これを飲めば一里病なし」と唱えます。

(5)厄年の人は厄年以外の人に厄を祓う力を分けてもらうため、一番最後に飲みます。

お屠蘇は元旦だけでなく三が日の来客時にも、最初にお屠蘇をすすめて新年のお祝いの挨拶を交すのが礼儀です。
しかし、地域や各家庭により違いもあるようです。

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重箱の詰め方を知っておくと便利ですよ。

飲む順番では、年長者の英知を若人に分け与えるという意味合いから、年長者から先に飲む地域もあったり、三段重ねの盃を一人で3つとも使うのではなく、大を父親、中を母親、小を子供というように分けて使うこともあるようです。
家の年長者に確認してみてくださいね。

お屠蘇の作り方とノンアルコールにするには?

お屠蘇の簡単な作り方と子供にも飲めるノンアルコールにする作り方について紹介します。

必ず子供達も飲みたがるんです。
なになにそれ美味しそうってな感じで。

お屠蘇の作り方

【用意するもの】
・屠蘇散(ドラッグストアで手に入ります。)
・酒
・本みりん

【作り方】
日本酒と本みりんを合計で約300~500mlの中に、市販の屠蘇散一包を数時間(5時間~8時間)浸して包みを取り出したらできあがりです。

長時間浸しすぎると苦味が出てしまうので注意しましょうね。

【ポイント】
・日本酒が苦手な人はみりんのみ、日本酒が好きな方は日本酒のみでもOKです。
酒の割合を多くすると辛口な仕上がりになり、本みりんの割合が多いと甘口でまろやかな味わいになります。
美味しくいただくには全て素材が勝負なので、上質な本みりんや日本酒(本醸造酒)を選ぶことが重要です。
・さらに甘口にしたい場合は、砂糖を足してもOKです。

ノンアルコール お屠蘇の作り方

車で来られたお客様や子どもには、安心して飲んで飲んでもらえるようにノンアルコールのお屠蘇を作ってみましょう。

【用意するもの】
・屠蘇散(ドラッグストアで手に入ります。)
・酒
・本みりん

【作り方】
(1)日本酒と本みりんを合わせて、鍋で3分ほど沸騰させてアルコールを飛ばしましょう。
(2)(1)を冷ましたものの中に、市販の屠蘇散一包を数時間(5時間~8時間)浸し、包みを取り出したらノンアルコールお屠蘇の出来上がりです。

鍋で3分ほど沸騰させてアルコールを飛ばし冷ます以外は、通常のお屠蘇の作り方のポイントを参考にしてください。

まとめ

近年、お屠蘇を飲む家庭は少なくなってきたようです。
ですがお屠蘇の意味、「悪い鬼を退治し、死者を蘇らせる」「邪気を払い、無病長寿を祈り、心身ともに改まろう」を知ると、お正月には作って飲んでみようという気持ちになってきますよね。

家族の健康を願う気持ちを込めていただく、お正月ならではの行事酒のお屠蘇は作り方も簡単ですし、ノンアルコールにすれば家族全員小さな子供も飲めます。
飲む順番は年少者から年長者へ、厄年の人は一番最後になります。

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